№43 不動産任意売却促進法(案)について

平成21年6月18日

一部の抵当権者の不同意で売却できないケースに対応するために、「複数の抵当権が設定された不動産の売却を促進させること、担保不動産の売却を円滑化させること」目的とした

不動産任意売却促進法」

をある党が今国会に提出し、早期成立をめざしてくれているそうです。

現行法では、担保付不動産の任意売却は設定されている複数の抵当権者全員の合意が整わないと不可能なのです。仮に一社でも同意が得られないときはいずれ競売に付される結果となります。

どの抵当権者もスタート時は任意売却につき協力姿勢を装っていますが、どの抵当権者も同意の条件となるハンコ代という「抹消料」の額(配当額)の多寡がポイントで、他の抵当権者の出方待ちから始まります。

金融機関は、大手都市銀行・地方銀行・信用金庫・信用組合・金融公庫・ノンバンク・消費者金融・個人貸金業者・債権譲渡したサービサー(債権回収会社)・代位弁済した保証協会等々・・・色々で、つまり各組織の考え方も様々です。

それなりの規模の金融機関ではハンコ代にある暗黙の相場があり、阿吽の呼吸で了承を得られますが、とても先順位の抵当権者の同意が得られないであろう法外な金額を要求したり、過度な駆け引きをしたり、相手先によっては苦闘することも多々あります。

このような問題を解決してくれる法律のようです。

その仕組みは次の通りです。

①ある売却金に対し一抵当権者が任意売却&抹消に同意した場合、当該抵当権者は他の抵当権全部の抹消を裁判所に請求することができる。

②但しこの金額に不服で請求に反対したい他の抵当権者は、請求後1ヶ月の期間内に競売の申立てをするか又は提示された売却金額の5%を上乗せた金額の売却先を見付けるかのどちらかの行動をしなければならない。

③できなかった場合、しなかった場合は、裁判所が全部の抵当権抹消を認める。

返済金は上位の抵当権者から順に得られるため、下位の抵当権者には配当が回らないのがほとんどのケースですので、言い方を変えれば第一順位の抵当権者の同意さえ取り付けることができれば二番、三番のような後順位が上記②で書いた競売申立て等を期間内に行わない限りは同意無しで抹消できるという制度のようです。

任意売却を手掛けるものとして有り難い制度のようですが、法案が国会を通過した後に実際に使ってみて始めて実感できるものだと思います。

制度ができても実務で使い易いような裁判所の対応が求められます。

但し、政局絡みでモタモタしている今国会で、同法案自体が本当に通過するのかどうがは私の知るところでありません?

                                 記:大森孝成

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№42  難しいことをやさしく! やさしいことを深く! 正しく理解することが大切です

平成21年6月12日

    難しいことをやさしく!

   やさしいことを深く!

   深いことを面白く!        <井上ひさしさん作>

    面白いことをまじめに!

「面白く」はチョット不適切な言葉かと思いますが私の好きなフレーズです

「深刻なことの核心部分をわかり易い言葉で説明し、深く正しく理解して頂き、問題の全体像を把握して、その問題点を共有し合って、明るく進める」  私のモットーです。

難しいことが意外に平易であったり、深いことが意外に浅かったり、「案ずるより産むはやすし」ということもあります。

いずれにしてもまずご自身が抱えている問題の全体像を整理(勿論お手伝いしますが)した上で問題点を正しく理解されることが一番大切なことなのです。そして次の対策を共に考えたいと思っています。明るく!明るく!

ここでポイントとなることは、自分だけの主張や後悔、相手に対する非難、言い訳などに固執し過ぎて実体が見えなくなっている方がおられます。自分に対しては客観的な目を持ったもう一人の自分がご自身を眺めているような見方、またもし自分が相手(敵?)の立場だったらどうするかといった見方など、いろいろと客観視した気持になれればもゆとりもでき、ご自身がおかれている立場や内容の全体像が更に深く見えてくると思います。

自分だけの主張に凝り固まっていますと、相手の顔や考え方が見えなくなり誤った判断をしてしまうことが多々あるからです。

起きたことをクヨクヨしても致し方ない。今後を明るく前向きに生きて頂きたいと思うからです。

追記:弁護士さんの法律用語による説明で思うことですが、一般人である依頼者にとって理解できる部分や耳障りのよいところだけを部分的に「つまみ食い理解」され、往々にしてそれぞれの前提となる法的要件が理解されていない傾向があり、結果、誤解や曲解を招くことが多々あります。

私の役目は依頼者に対し弁護士さんが話される法的日本語を普通の言葉に通訳することだと思っています。また依頼者さんとして質問し難いこと、何を質問してよいのか分らないこと等をあえて代りに質問したりしてポイントの整理に努め正しく理解してもらえるように心がけています。

                                                                                   記:大森孝成

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№41 もっと早ければ! 競売申立から落札売却先確定までの事務的日程!

平成21年6月6日

決断や相談が早やければ、手の打ちようもあったのに! 

法律に従った裁判所の非情で事務的な進行は待ってくれません!

昨今、入札日が間近かに迫った状態での相談が多くあります。いずれも問題をお一人で抱えて知人友人等の色々な方々から得た断片的つまみ食い知識をもとに素人判断で解釈し解決させようと右往左往されているうちに時間が経過したケースです。

このようなことから競売申立後の裁判所での手順について再認識して頂きたいと思い改めて整理して見ました。

①債権者から裁判所に対し「不動産競売申立」があって。

②【①から約10日後】 裁判官は「競売開始決定」をします。 債権者の担保権の実行として競売手続き開始されたことを意味する。

  ※数日後には謄本に職権で「差押・競売開始決定」と登記されると共に抵当権者以外の債権者に知らせるため「配当終期の公告」(地裁閲覧室)をします。つまり競売物件を専門にしている不動産業者や名簿屋等の業界内で知るところとなる。

③【②から数週間後】 裁判官は執行官に占有関係等の権利の現況を、評価人に物件の価格評価を命じる。

  ※つまり開始決定から1ヶ月内に執行官は債務者や居住者から直に聴取したり物件に立入り占有状況を確認したりする。一方評価人は撮影したり物件としての価値を評価する。この調査日については事前に通知がありますが、当日不在であっても勝手に開錠し立入り調査します。

④【③から約2ヶ月後】 執行官&評価人は調査結果をもとに「現況調査報告書」&「評価書」を作成し裁判官に提出します。

⑤【④から約1~2ヶ月後】 これらの書類をもとに裁判官は「物件明細書」を作成する。この明細書には売却基準価額(改正民事執行法後の最低売却価格のこと)・買受可能価額(改正後、基準価額の2割減も認められたので実質の最低売却価格のこと)・入札期間・開札・売却許可等の日程が定められている。

◆この段階で債務者&債権者等の“当事者に限り”これら書類を閲覧できます。つまり一般公開前に今後の方針が検討できるのです。

  =◆ここまで凡そ競売開始決定から「4ヶ月」要する

 但し、裁判所が抱えている件数等(混み具合)や事件(裁判所は一つ一つを事件と言う)の難易度によって日程が変動しますので、要注意です。

⑥【⑤から約2ヶ月後】 新聞や地裁閲覧室で一般公開が開始される。

⑦【⑥から1ヶ月後】 「入札」 1週間行われる。

⑧【⑦から1週間後】  「開札」 入札の札を封印し始めてこの日に開札する。 

◆開札日の前日が任意売却(競売申立て取下げ)の期限です。つまり競売申立人等との話合いが成立し取下げさせることのできる最終日です。

 =◆ここまで凡そ競売開始決定から「6~7ヶ月」です

つまり競売開始した時点で種々検討し決断すれば、まだ6ヶ月強の時間猶予があるということです。

⑨【⑧から数日後】  一番札の落札者に対し「売却許可決定」 

⑩【⑨から1週間後】 落札者が債務者でないこと、能力者であること等の不服申立期間を経て「売却許可決定の確定」がなされ本当の確定となる。

⑪【⑩から数日後】  裁判所は落札者に対し期限1ヶ月の落札金額の「納付書」を送付する。

⑫【⑪から1ヶ月以内】 納付後速やかに、裁判所は職権で所有権移転登記

◆売却先が確定し所有権移転登記がなされた後、債務者にとってはどのようなことが起こるのでしょうか!

落札者に対し所有権が移転されますと、落札者は所有権者として面会を求めてきます。つまり引渡し(明渡し)の要求です。

落札者の立場では、「話合いで決める引渡し」と「裁判所への引渡命令申立による強制執行」の2方法があります。

私は過去二度に亘り強制執行の場面に立合ったことがあります。問答無用で執行される場面は気の毒で見るに耐えられません。できることならば落札者との話合いで決めることをお勧めします。落札者にとって引渡命令申立ては裁判所に予納金を積むことになりますので、このお金を交渉で転居費用として負担させることの方が得策だと考えるからです。

競売又は任意売却かの選択(どちらが得策か?)は各債務者の置かれている事情と対象不動産により異なりますが、いずれにしても早い時点でしっかりした弁護士又はコンサルタントに相談されて

「置かれている立場・債務の内容等の全体像と今後起こであろう事柄や流れを客観的に正しく理解される」

ことが最も大事なことなのです。

参考事例1)時価4500万円と思われる物件に対し売却基準価格(最低売却価格)は2500万円。結果は3100万円でした。この方の場合は仮に時価相当額であってもなお債務超過状態ですので自己破産されることを決断されました。

所見:債務超過には変らないので次の破産申立ては止むを得ない。任意売却と異なり落札者への引渡しについては落札者との交渉余地(転居費用負担&期間等)が残されているので、ギリギリまで住み続けて、その間に次の段取りをされることを進めた。

参考事例2)時価8000万円超と思われる物件に対して裁判所が示した売却基準価格(最低売却価格)は3900万円で債務者は不当に安価であると言われる。何故ならばこの方の債務は2社からの借入総額6000万円、延滞利息を含め計6400万円程なので、もし安価に落とされれば債務が残り,破産を視野に入れざるを得ないことになるからです。結果は基準価格3900万円に対し7200万円で落札され、お釣りが本人に配当される結果で終わり幸運でしたが、本人は8000万円強の価値があると大いにご不満!

所見:債務超過に至っていない担保不動産でしたので、早い時点で決断し任意売却で処理されたならもっと多くのお釣りがあった筈でした。

                          記:大森孝成

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№40 やっと笑顔を見た! おじいさん・おばあさんのこれから

H21.4.10

相談室には様々な問題やお悩みを抱えられた方が来られますが、今回、お子さんのない80歳に近い老ご夫婦のお話には身を詰まされました。

同居の姉の死による相続の揉め事で長~いヘトヘトになる裁判を弁護士も立てず老ご夫婦だけで争ったと言われるのです。結果、敗訴、控訴したが棄却、土地の所有が姉であった上に土地賃貸借契約がなかったため無権利者として強制執行され自宅から追出された訳です。身体は区紹介の期限付きの○○荘へ仮入居、家財道具は裁判所管轄の保管センターに強制的に移され、今は福祉事務所の生活扶助(保護)受給者の身であると言われるのです。

疎遠であった10名を超える甥姪の代襲相続人から訴えられたわけです。唯一の(ヨレヨレ)叔母らを大勢の甥姪が家から追出すという信じ難い内容でした。甥姪が不動産業者に売却したため業者により強制執行をかけられたのです。つまり自らの手を汚さない、後は知りませんの図式です。

当然ですが、負けた悔しさ以外にも、裁判後、福祉事務所にお世話になる等、プライドは傷つき、執行官との対峙では問答無用の処理をされる等、次々と降りかかる追い討ちや過酷な扱いにご本人らは険しい表情でした。悔しさと怒りで笑いは失せ人間不信に陥られるのも当然のことだと受止めました。

私は裁判での「勝った負けたの問題」と「頼るところのない身内のお世話」とは別の問題という観点から甥姪には「叔母らのお世話をする義務がある」と思い行動しようとしましたが、ことを更に複雑化させることも考えられる上に話をしても無駄な方々のようでしたので止めました。私とすればその内の一人でも良いから心に止めこの叔母らの問題を自分らの問題として立ち向ってくれる方がいてほしかったからです。

結局、ご夫婦は親族がいても実質「身寄りのないお年寄り」になったわけです。

別の視点で考えると、核家族化で親族間の絆が薄れ、金だけに執着するような希薄な世の中になったと言えます。残念ながらこのようなことは世間ではよくあることなのかも知れません。

先日の群馬県渋川(無届け且つ違反建築)老人施設「静養ホームたまゆら」火災事件の報道で、多くの身寄りのないご老人が福祉事務所のお世話で地方のこのような施設に移り住んでおられることが明らかにされました。

法律?では保護責任を持つ「居住地保護」という原則があるようですが、実態は都内の老人施設不足という「国の政策の貧困・怠慢」のために地方のこのような許可対象外の民間老人施設に追いやられているのです。このような老人施設が全国で575もあることも初めて知りました。そのなかには「たまゆら」のような劣悪な施設も少なくないと聞きます。

国の老人問題の無策から都内の施設は飽和化し福祉事務所として頼らざるを得ない有り難い存在になっているようです。少子高齢化問題が叫ばれているなかで、こんな事で良いのか! 疑問を禁じ得ません。

私としてはこの老夫婦をこのまま見捨てることは、いずれ地方送りになるかも知れないことを意味していますので、お世話することを決断しました。

誰しもいずれ老人になるのですから! 明日は我が身かも知れません!

まず、やるべきこととしては

①期限を過ぎると競売処分される家財を他の場所に期限前に移動すること

②福祉で認められる家賃扶助内の賃貸アパートを探すことでした。

家財については、たまたま不動産屋として私が管理している田舎の空古屋があったので所有者の理解と協力を得た上で保管センターから仮移動して家財は確保しましたが、次の賃貸アパートの探索が最大の難関でした。

身寄りのないお年寄りの住いを見付けるという作業が、如何に大変なことかを思い知らされた体験でした。

普通の人であっても家探しは決断までに相当な時間と労力を要しますが、こと老人の場合、進む老化を考えると、一階であるべし、買物は? 病院は? 周辺を含め地勢が平坦かどうか 等々の要件が加わります。元々福祉の家賃扶助額内の賃貸アパートですから利便性や築年数等の贅沢を言っていられないことは重々分っていますが、それでも少しでも生活し易いところをと考えると本当に疲れる作業になります。

最も困ることは、貸主&不動産業者&家賃保証会社のほとんどは身寄りがないことを事前に説明しているにも拘わらず、ほとんどの業者は緊急連絡先と保証人を要求してきます。しかも緊急連絡先は身内と言うのです。

気に入った物件が見付かり申込みを入れても、仲介&管理を任されている不動産業者、貸主(大家さん)、更には家賃保証する保証会社の理解が得られないとか、緊急連絡先は?連帯保証人はだれが負うのか?いろいろ厚い壁にぶち当たります。

立場を替え、貸主さん側の商売という視点から見れば、健康で問題が少なく、緊急連絡先が身内の方で、保証人がしっかりしている方であれば貸した後、手間も掛らず安心できます。このような方を優先したいと考えるのは当然のことなのです。

(※緊急連絡先とは、病気になったり亡くなった時の連絡先で、大家さん側から見れば重要な要件のようです。)

300件に近い数の業者への電話段階で、老人対応をOKしてくれる業者又は物件は約5%、それでも緊急連絡先、連帯保証人のことは確実に聞いてきます。不可ならばほとんど態よく丁重?に断わられるのが現実でした。

この作業を精神的に追い詰められている老人だけで探し歩いても、適切な説明もできる訳でもなく、心ある良い業者に当らない限りは不可能に近いことだと思いました。

私は訴えたい。少なくとも「緊急連絡先」「保証人」の2要件を国が保証する制度を新設してくれることを!

民間アパート利用で老人の地方送りを減らすことができる上に、借手の付きにくい物件の活性化にも寄与する一石二鳥の方策だと考えるからです。

この問題に協力したいと理解を示す大家さんは多くおられることも知りました。しかしこの保証人等の壁をクリアーすることは至難な技なのです。

国が貸主として貸しやすいような制度を設けてくれれば、提供してくれる物件は沢山出てくるものと確信します。物件は潜在しています。国はもっと民間のアパート等を利用すべきだと思いますが如何でしょうか!

今回、私は3ケ月におよぶ探索作業で、大家さん側が求める完璧で贅沢な要件を満たせることはできず、挫折しそうになったことも度々でした。

大家さんから了解を貰い申込みをして期待していた物件が、契約寸前の前夜突然大家さんのご家族の反対でキャンセルされ困惑しているとき、このときの仲介業者さんが心に留めて下さり気遣ってくれたお陰で他業者の物件に出会い、やっと無事に契約に漕ぎ着けることができました。

契約後、ご本人らの安堵した笑顔を見て、その喜びを私も共有することができ「本当に良かった!」  長い道のりでした。過去の悔しい嫌な出来事に気持ちの整理をつけられて、前を向いて生きて頂きたいと思うばかりです。

狭い家になり変わりますが、愛着ある家財の一部を新たな住いに移動させ、元の穏かな生活が取り戻せられるよう近日作業しお役に立ちたいと思っています。

結局のところ、保証人&緊急連絡先欄は私が署名しましたので、この老ご夫婦とは今後長~いお付合いを続けることになります。また見守っていくつもりです。世代の異なる?見方や考え方で新たな知識が得られのではないかと楽しみにしています。

と言うことで、今回、初めて国の老人福祉政策やご老人の実態や問題点について勉強させられた案件でした。

とは言え、私も今年65歳! 老人の仲間入りをします。あと15年生きていれば80歳です。

オーィ 時間よ~ 待ってくれ~!

                         記:大森孝成

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№39 任売事例 好ましくない仮差押え

平成21年2月28日

今回のキーワードは、「無剰余」「仮差押え」「偏頗(へんぱ)弁済」です。

解説1)無剰余:価額(評価額)を越える(根)抵当権等が設定されていて物件価値から見て余りがない権利状態をいう。つまり他の一般債権者が後順位に仮差押え登記を設定しても意味がない状況を言います。反対に価値内にある場合を「剰余」という。

解説2)仮差押え:金銭債権において「その財産を差押える用意があるので、勝手に処分してはならない」とする裁判所からの財産保全命令です。つまり債務者が売却したり隠したりして財産が失われないように暫定的に抑えておく債権者の手続きのことです。また任意売却ならば無剰余であっても、仮差押権者が抹消に応じなければ債務者は売却できないため、抹消料(通称:ハン付き料)名目の弁済を得ようとする一手法として使われることがある。

つまり「嫌がらせ」で他の一般債権者を出し抜いて少しでも多くの回収を図ろうとする余り宜しくない手法です。但し破産開始決定後においては無益な仮差押えとして裁判所許可のもと取消され失効します。

解説3)偏頗弁済:債権者間の平等弁済の原則に反する行為。つまり複数の一般債権者の中で特定な債権者だけに厚く弁済され、他の一般債権者と比べ著しく不公平である弁済を言います。

では本論に移ります。

任意売却で次のような色々なことがありました。

=経緯=弁護士紹介の任意売却を開始⇒◆買主Aと売買契約締結⇒◆仮差押権者と「抹消料」で決着付かず売主理由特約で白紙解除、振出しへ⇒◆抵当権者債権譲渡⇒◆新買主Bが付いたが仮差押権者の要求額が偏頗弁済に当るとして弁護士は破産申立て⇒◆破産管管財人のもとで任意売却再開⇒◆待ってくれた買主Bと売買契約⇒◆決済&引渡し完了

元々この案件は、破産申立て前、債務者(所有者)が委任した弁護士紹介で任意売却を進めたが、環境面でのマイナス要素のため反響が少なく、その上に貴重な買主が付いても仮差押解除が遅々として進まない状況に不安を抱き壊れてしまうという物件でした。一方、抵当権者は決算を控えサービサーに債権譲渡する等の様々な要因が重なり時間だけが経過してしまうという難しい案件でした。

この物件の所有権以外の権利は、銀行の抵当権の外に某金融機関の仮差押えが駆け込み登記されていました。

この仮差押えが障害でした。

この仮差押えは、抹消料名目でより高い弁済を得ようとする目的の仮差押えです。

本音は金ですが、最初仮差押権者は「債務者に謝罪に来させろ」「金ではない」等、言いたい放題の乱暴な口の言いようでした。

任意売却は競売等と異なり、売買代金の配分は競売とほぼ同じ配分ルールに従い個々の抵当権者との話合いで確定し、その配当額を買主への所有権移転と抵当権抹消等を同時に行ない、買主に完全なる所有権を引渡す仕組みです。

つまり任意売却であっても、一般売買と同じ「売主は引渡しの日までに、本物件に対し抵当権・質権・先取り特権・賃借権・差押えなど、その他所有権を阻害する一切の法律上、あるいは事実上の瑕疵があるときは、これを除去又は抹消し、何ら制限のない安全なる所有権を引渡さなければなりません。」 一つが欠けてもならないのです。

無剰余部分に設定されている債権者の抹消料は、先順位の抵当権者の同意を要しますので一概に申せませんが、一定の暗黙の相場があるようです。しかし無剰余部分の一般債権者の仮差押は偏差弁済に値しないであろう許されるギリギリ金額があるようです。

しかし当金融機関はとても応じることのできない多額な要求で、その後の交渉ても大きな歩み寄りがありませんでした。

結果、弁護士さんは偏頗弁済に当るとして破産を申立てたのです。

では、破産開始決定後「仮差押えの扱い」はどのように変わるのでしょうか?

破産法第42条第2項「破産開始の決定があった場合には、強制執行、仮差押え・・・略・・・の実行の手続きで破産財団に属する財産に対して既にされているものは、破産財団に対してその効力を失う。」

しかし任意売却を行う場合の別の問題点として実質的に効力がなくても裁判所&法務局の手続きが終るまでは、謄本上に「仮差押え」登記の記載が残るという問題が残ります。

従って弁護士作成の契約書には「仮差押権者の抹消登記については、決済日までに裁判所又は法務局の手続きが完了しないことがあり得ることを買主は了解するものとする。」という特約条項が付け加えられます。

これが何を意味するかと言いますと、仮差押えの権利は既に法律上失効しているが、登記上の記載抹消には時間が掛るので間に合わないときは決済を先にしてくれと言うことなのです。

一般的に我々不動産業者の法的知識は「登記記載事項は第三者に対抗できる」程度ですので、登記記載があっても実質無効だから先に所有権移転をして良いといわれても納得できないのが現実です。

また、新たな融資先金融機関の担当者も、全員が必ずしも法律に長けているとは限りません。私自身も始めてのことで最初戸惑ったように、ほとんどの方にとってこの法律論を理解することは至難なことでありました。この仮差押え登記の記載抹消には、次の2方法があると弁護士から伺いました。

方法1)仮差押権者自身が自主的に取下げる。

方法2)自主的に取下げない場合、管財人が裁判所に対し「裁判所による仮差押権者への効力消滅の通知並びに登記抹消」を上申書という方法で願い出て職権で抹消する。但し、この上申書でも任意売却の売買契約が先になされることが要件となっています。

(※「契約が先の要件」はここでは言及しませんが、任意売却時の要注意事項!)

管財人の法的説明によりやっとのことで買主側の一応の理解を得て契約できましたが、買主側の条件は決済日までの記載抹消でした。このケースでは仮差押権者が自主的取下げに応じたことで抹消期日が読め事なきを得た契約と決済でした。

このように仮差押え等に振り回された長期間でしたが、私としては感謝したい想いです。お陰でまた一つ新たな実務上の勉強ができちゃいました。

収穫もあった一事例です。

記:大森孝成

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№38 破産 思い付くままに!

H21.1/31

平成4年に転身した現在の私の本業は不動産業です。  しかし不動産と言いましても過剰な抵当権の付いた不動産の任意売却を債務者の立場で手掛けています。つまり債務者のご心情を内々に汲んだ立場で抵当権者らと抹消交渉をはかり買人を付けて売却する仲介業です。

一方、事業再生や倒産破産前のお手伝い(コンサル)も半ばボランティアに近い形で行っています。つまり再生では再生スキーム(事業譲渡・企業分割・M&A・・・等)の組立て、倒産破産では弁護士さんに移行する前にやっておくべきことなどのコンサルです。いずれの場合も希望があれば内容に応じ適任と思われる弁護士さん(再生では税理士さんも必要)をご紹介しています。

私は、父が製紙業で倒産した直後に私が再興させ9年間経営した会社(印刷紙器製造業)を25年前に倒産させ、その連帯保証のために私自身も「破産」を決断しました。(つまり二次破綻)

当時の仕事内容は凸版印刷や大日本印刷等の下請けの製箱業でした。身近な箱ではケンタッキーフライドチキンの箱、森永等の製菓会社の箱やディズニーランドのポップコーンの箱などの箱です。平らな板紙を加工しますと膨大な嵩(カサ)量に変わり、狭い工場内では常に物量との戦いでした。原材料である板紙を搬入するためには製品を搬出しなければならず早朝来る4㌧トラックに如何に多くの製品を搬出させるか微妙な舵取りをしたものです。

しかし経営状況は夜遅くまでの残業でやっと利益が上がる。得意先からは「生かさず殺さず」程度の加工賃しかもらえませんでした。そのため正に毎日毎日が資金繰りとの睨めっこで精神的に疲れる心境の連続でした。

給料日になれば集金した手形をその日に銀行で即割引き賄うという綱渡りを何年も続けました。正にその日暮しの自転車操業でした。「働けど働けど 我が暮し楽にならず じっと手を見る」、本当に自分の手をしみじみと見詰めたものです。年2度のボーナス月は経営者にとって苦痛の月(7月&12月)でした。更に借入金返済の為にまた借入をする。何の為に、誰の為に早朝から夜遅くまで働くのか? 自問自答の日々でした。

昭和60年グリコ森永事件で菓子や食品業界が痛手を被ったとき、得意先は仕事を自社工場に引上げ、その結果、下請けの受注は半減、更に追い討ちをかけられたのが前年に行った設備投資の割賦弁済でした。

私は倒産を覚悟し過去の一切を投げ打って即座に破産を決意しました。見方を変えるとこの事件のお陰で紙業界と区切りが付き、新たな道を歩めたと思っています。

破産は嫌なこと、絶対に破産者にはなりたくない、誰しもが考えることは当り前のことですが、人生はままならないものです。

紆余曲折のある長い人生のなかで何が起こるかわからない。本人は一生懸命努力しているつもりであっても自分だけではどうすることもできない局面にぶち当たることが多々あります。そして「破産という法的逃げ場(他に民事再生法&同個人版もあるが)に駆け込むことは誰しもあり得ることなのです。

法人では、経済環境の急変、取引先破綻での貸倒、個人では景気急落で勤め先の倒産や減給、他人にために迂闊に押印した保証の後始末、良かれと思い投資した株価等の急落、ましてそのお金を借入金で運用していれば惨めなものです。今迄資産家と崇められた人が突然借金王に成り代わることもあり得るのです。正に「明日は分からない」という言葉をかみ締めています。言い方を変えれば誰も「明日は我が身!」かも知れません。

そのような視点に立てば、相手の痛みや苦しみが分かるはず、思いやりや労わりの気持ちも生まれるのではないでしょうか!

しかし世間は意外に冷たいものです。内実は苦しみや悩みを抱えている人でも、他人の失敗には厳しい目で見たがるものです。落伍者という烙印を押したがる世間の風潮には憤りを禁じ得ません。

破産者は立派な「ゼロスタートの再挑戦者(チャレンジャー)」です。破産者のなかには過度に卑屈になる方もおりますが、卑屈になることでは決してない。堂々と処し次の生活設計、次の仕事に前向きにチャレンジしてもらいたいです。

私は「破産は決して悪いことではない!」という持論を持っています。

自分ではどうすることもできない局面で、現状に「一旦区切りをつけ出直す」という決断こそ本当に勇気ある行動であり、悶々とした断腸な想いのなかでのすごい決断だと思っています。

◆破産しますと金融機関(銀行系・信販系・消費者金融系のセンター)のブラックリストに登録されます。つまり5年間、一切の融資(借入・リース・クレジットカード等)が受けられなくなります。言い方を変えれば「自分に貸したくとも貸せないのだ」と言うお墨付きをもらったようなものです

本当は、破産者は全ての債務を明らかにし法的に免責された方ですので、隠れた債務のある方よりもずっとリスクの少ない貸し手でもある筈だと思いますが!

このブラックリスト登録を良しと見るか、困ったと見るかは人それぞれですが、私は「チャンス」だと思いました。ブラックリスト5年間は借入・リース・割賦・カード等々・・・の借金に頼る経営や生活習慣から脱皮できる大きなチャンスなのです。

晴れて6年後、仮に借入を要する場面があったとしても「借入はご計画的に!」 

このフレーズは某消費者金融会社がコマーシャルで流したミエミエな言葉ですが、真に計画的に全うな金融機関から融資を受けるならばよいのかも知れません。相手が高利な金融機関ではまた来た道に戻ってしまいます。ご用心を!

私は、この教訓から今はリースも割賦も使わないことにしてます。リースと言えども借入金(債務)です。リース料という返済金が月々掛るので安易な利用は禁物です。事務機器も車も、お金に余裕ができた時々の範囲内で現金購入するように心掛けています。現金ならば物によっては定価を半値近くまで叩いて購入することも可能なのです。

考え方は地味で消極的で少しツマラナイような気もしますが、借金ゼロ円の気楽さは本当にありがたいものです。これもブラックリスト5年間の習性のお陰です。

今日はここで打ち止めとします。

記:大森孝成  

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№37 倒産&破産を意識したら  その要領要点②

H20.12.14

私は、再生叶わず倒産&破産の意思を固められた企業につき弁護士に引継ぐまでのお手伝い(お世話係)を行うことが多々ありますので、多少弁護士について触れてみたいと思います。

皆同じ人間ですので、弁護士の先生方にも色々な方がおられます。失礼な表現で言いますと「ピンキリ」です。 「もちろん私たちコンサルタントも同じですのでご用心を!

先生方には法人の民事再生法・会社更生法等の大きな事案に取組む高名な先生、種々の手法(企業分割・事業譲渡等)と法律を駆使し企業再生を真剣に取り組んでいる先生、個人や中小企業の破産や個人版民事再生に特化されている先生、個人の消費者金融等の過払い返還請求・・・等々、特に区分されているわけではありませんが、ある程度専門化されています。また昨今ナンデモゴザレ式で多数の弁護士さんを抱えた総合法律事務所も多く見られます。

実際面ではその先生により異なります。一般人には全く理解できない法律用語でしゃべりまくる先生、丁寧な言い回しで理解させようと努められる先生・・・色々な先生がおられます。

私は複数の弁護士さんとお付合いさせて頂いておりますが、私が考える理想的な弁護士像は、法の番人みたいな偉ぶった(威張った)先生は御免です。人間性があり且つ事務的能力に長けた先生、物事の法的ポイントを即座に理解し淡々と処理して下さる先生が大好きです。また依頼者の切実な問題に「聞かなかった、知らなかったことにする。」として依頼者に阿吽の対応をしてくれるような先生が好きです。もちろん弁護士費用が安ければもっと最高です。

依頼者は双方互いにリスクを負った商行為に失敗しただけのことですので、負けは負けとして決して卑屈にならず堂々と問題解決に立ち向かってください。法律に疎いから弁護士に依頼し「弁護士費用を払った依頼者だ」という主体的な姿勢が肝要だと考えます。また弁護士さんはやはり一応は法の番人ですので、その立場もよく理解したうえで使い別けて付き合う必要があります。

以上のように生意気な弁護士談等をしていると、暇でつまらない弁護士に怒られますので、この辺で止めときます。

ー付記ー 債権者側からの見方:債務者が会社を単に投げ出す(事実上の倒産)のでなく、法的手段で確実に処理してくれることは債権者にとって有難いことなのです。何故なら債権者は税法上、堂々と貸倒損金として計上ができことにより、利益会社は法人税(約半分近く)が助かり、赤字会社は青色損金として将来(7年)の利益に備えることができるからです。

さて本題に入ります(資産が清算経費や労務債権にも満たないギリギリ流動資産状況の場合)

=倒産&破産を決断し弁護士に依頼する時には=

1、会社の全体像を弁護士さんにまず理解させること

口頭だけでなく根拠(書類等・・)を示し説明することが肝要! 当然ですが弁護士さんは当事者の内容を何も知らない訳ですので、物事を急ぎ進めさせるためには如何に早く全体像を理解させるかに掛っています。

何故ならばその全体像を理解した上で、弁護士は全債権者並びに全売掛先顧客個々に対して内容証明で「受任通知」を、債権者等には更に+「債権届け」を送付します。一方で当該会社の事務所等には貼紙をして自分が債務者の代理人であることを表明します。

この段階で債務者に対する督促等の電話、訪問等の嫌がらせ(債務者にとっては嫌がらせと思うが、債権者は合非合法に拘わらず真剣です。 取立て商売の人は論外)は、原則として一切とまります。

また、売掛顧客についても自分の売掛金の差押え又は債権譲渡先等からの集金があっても巻込まれることを恐れ供託又は弁護士に相談してくれる方が多いので、一部債権者が利する偏頗弁済(偏った弁済)を防止することができるのです。

2、事前に根拠となる書類の作成

この作業が意外に大変なのです

日頃から業務を仕切られ内容の全てを熟知されている社長さんならば何ら問題がありません。しかし他取締役や従業員に任せ切りの社長さんは大変です。個々の実務が分からない、また内々に打ち明け頼れる片腕がいないような場合にあっては、社長ご自身がやらなければならない幕引き最後の仕事になります。帳簿や書類の保管が分からない、コンピュータ管理では担当者のセキュリティが掛っていたり、開き方が分からなかったり、色々ですが、普段したことのないことを行うのですから戸惑いの連続です。

何せ、「社長と従業員であった筈の関係」が、突然「労働債権者と債務者の関係」に成り代わる訳ですので! 事前に悟られてはならないのです。

Ⅹdayを定めたら、その間に担当者の事務作業を盗み取りし全体の流れや書類の保管場所を把握したり・・・また金銭消費貸借契約書はどこ? リース契約書・売買契約書等の債権債務に関する契約書は? 賃金台帳や従業員名簿はどこにあるのか? 中には就業規則を知らない社長さんすらおられます。下準備としてやることは色々多くあります。そして、従業員退社後に本格的作業に入ることになります。

弁護士さんが「受任通知」をより早く発送できるかどうかはこれらの事前準備に掛っています。  

以下弁護士依頼時、当座必要な書類を列記します

債権者一覧表(当該会社が有している債務明細の一覧 =科目毎で区分も可=)

債権者一覧表とは、直近のある時点を定め、その時点での債権者の社名・住所・電話番号・債権額を一覧にしたものです。

実際面では、社名(後カブか前カブか、略してないか等を注意)・住所・電話番号のミス記載、債権者のモレが多くあります。ミスやモレがあると弁護士事務所で作り直すことになり受任通知発送が遅れる原因となります。

納品書、請求書、契約書等をチェックした上で確実な書類の作成が肝要です。

①支払手形・買掛金・未払金等の一覧表

 会社によりソレゾレですが、100件位の債権者の確認作業になります。丁寧に作成されるように!

②借入金・リースの一覧表

 まず連帯保証人をチェック! 

社歴ある企業ですと過去の契約内容を忘れている、契約書が手元にない、無くしていることも多々あります。(この場合は相手金融機関に悟られぬ段階、悟られぬ様に保証の事実関係を要確認) また保証人ご自身が保証したこと自体を忘れている、相続したこと忘れている等、色々あります。

 金銭消費貸借契約書、リース契約書をよく確認し事実関係の把握が重要です。

 担保不動産が個人所有の場合、会社経営に関わっていない所有者も連帯保証人(金融機関の契約書自体に担保提供者&連帯保証人をプリントされているので遂サイン)として名前を連ねているケースがほとんどです。更に相続後の不動産を担保提供しているケースでは共有者(持ち分所有者・ex兄弟姉妹等・・・)全員が署名押印している可能性が大きいのです。この場合本人に知らされず父親等が代筆していることもありますので、筆跡確認も大事な要素となります。何故ならば代筆で、且つ本人に保証の自覚がなければ無効主張が可能なので。

※付記 保証には物上保証・保証・連帯保証があります。物上保証は提供した担保不動産の範囲内のみの保証ですが、連帯保証は債務者(ex会社)の債務全部を保証することになります。また保証と連帯保証の違いは保証は債務者の債務が確定した後の残債務保証ですが、連帯保証の場合は債務者と同列で、債権者は債務者&連帯保証人のどちらからも全部弁済を受けることができるのです。

注)これから自己不動産を担保提供される方は絶対に書式に勝手にプリントされている連帯保証人を物上保証人に書換えてサインすることが肝要です。また現在金融機関には本人確認が法的に義務付けられているので、代筆等のいい加減な契約は規制されている。

3、租税債務(消費税・労働保険・社会保険・固定資産税等の滞納金)の一覧表

 租税債務は優先債権ですので、この数字の把握が重要!

 ギリギリ資産のときは、優先度において同じの清算経費や労働債権(特に予告手当)において売掛金をどちらが先に押さえるかが大きなポイントになります。売掛金の明細を一早く知っているのは当然、社長さんです。 前月記載のブログの要点を確認の上、次善策をとって下さい。

4、労働債権の一覧表

 前月ブログで記載の通り未払賃金&退職金約80%は労働者健康福祉機構の立替制度で従業員個々に支払われますが予告手当が対象外ですので、予告手当(賃金30日分)につき売掛金から確保させることが重要!

なお、解雇通達後、従業員個々に対して雇用保険取得のため必要な「雇用被保険者離職証明書」の交付を要しますが、この段階では労働債権者と言えども自分らの問題ですので元従業員の協力のもとに速やかに作成して下さい。

5、売掛債権の一覧表

 この表についても、社名・住所・電話番号・金額のミス記載を注意すること言うまでもありませんが、特に締め日、支払い日、現金か振込みか、振込みの場合は振込先の金融機関がどこなのかを把握することが重要です!

そのポイントと見方は前月記載のブログに記載した通りです。

いずれにしてもギリギリ資産の場合は売掛金が租税債務と取り合いになりますので、充分策を練ってことに対処することが、重要要件となります。そして倒産時は事前に社長ご自身が売掛回収見込額と清算費用や労働債権(特に予告手当)の数字の目安をつけ行動することが最も重要なことになります。

ー付記ー(私のこと) 24年前の昭和60年11月2日私は会社を倒産させました。社員の有志が社員主導による再建を希望したので、私はこの計画が成立するように法的措置ではない任意での整理を考えました。社員が依頼した一部有力債権者の協力を側面的にお願いしたりしましたが、その行為がかえって他の債権者の誤解を招き不成立となりました。よって咄嗟の判断で自己破産を決断しました。しかしこの時間差のために弁護士さん提出の破産資料の作成が後手に回り一時会社は無法地帯と化しました。 勿論近くの交番に身辺保護を願い出ましたが民事不介入の原則のもと無駄でした。当時はまだ暴力団排除の法律が無いときの話です。

仕方なく夜中、弁護士了解の下、正にコソ泥(笑)のように事務所内をウロウロ!屋探して必要書類を小ホテルの一室(借りた隠れ家)へ持ち出し約1週間、雲隠れ状態で作業しました。私を心配し力を貸してくれた経理部長恩人! 今でもお付き合いしている)のお陰でどうにかやり遂げることができました。この隠れ屋で作成し投函した「詫び状」は私の戒めとして今でも大切に保管しています。

記:大森孝成

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№36 会社の倒産&破産を意識したら その要領要点①

平成20年11月19日

私の本業は不動産業です。と言いましても弁護士さんや税理士さん依頼の抵当権付不動産の任意売却の仲介が主たる業務です。つまり債務者側の立場で抵当権者と交渉し(根)抵当権を抹消させて不動産を処理しているのです。

また一方で、私の過去の負の経験(エッヘン??元破産者)を生かしお役に立ちたいとの想いから、お悩みを抱えた会社や個人のコンサルティング(実体は、相談相手であり、またお手伝い係)も行っております。

「苦しみをお一人で抱え込まないように」の願いを込めて!

先日、ある地方の小企業(資本金1000万円 年商5000万円 従業員8名)の倒産でその前捌きのお手伝いを行い地元の弁護士さんに引継ぎしたこともあり、今回は倒産&破産について記載いたしました。

同社社長さんとは2年ほど前にお付合いが始まり以来相談相手になっています。毎年数百万円の赤字でそれを数年間続けている訳ですので、既に数千万円を無くしている状態です。決算上は過去の社長一族の貸付金放棄で債務免除益を立てて帳尻合わせをし外面を作っていました。当初、私は事業再生を図るべく新会社を設立して事業譲渡を図る手法を提案して見ましたが、代わりになる中心人物もおらず、また時代に即応した営業内容でもなく、正直本音部分では再生困難ではないかと思わざるを得ませんでした。

そんな状態でも同社は支払手形を発行していませんでしたので、仕入先や借入先に無理をお願いしては先延ばしを図っていました。私はこの状態で継続することは新たな債権者(仕入先)を生み問題を複雑化させるだけなので、売上の上がっときが倒産日だと諭し閉めることを勧めてiいました。今年5月いよいよ苦しくなり社長はやっと倒産を視野に入れましたが、それでも同社の抱えたある事情で恐れ踏み切れず今日に至りました。

先月のある日突然(それも3日前)、社長より○○日の買掛金及び遅配した給料の払いができないとSOSの電話を貰いました。閉める覚悟のようなので急遽懇意の弁護士から地元弁護士を紹介してもらい翌日飛びましたが、同弁護士は同様の事件を抱えていたため同日は不可であるとの返事、仕方なく支払日には従業員にナケナシのお金で給料(優先債権)の一部を払い、仕入先には社長らが平身低頭して先延ばしをお願いしたりして、何とかその場を凌ぎました。そして改めて数日後をⅩdayと定めて実行しました。正に社長の不決断による余りよろしくない事例となりました。

ただ一言、この社長のことを弁護をしますと、誰しも倒産は恐ろしいことなのです。タラレバのおいしい話に一途の望みを託し先延ばしをし右往左往することは致し方ないことだと思います。私も過去の倒産のとき同様でしたから。

しかし、スッカラピン状態の倒産&破産ですから、弁護士の着手金の用立て(借りて何とか作ったが)から始まり、これからが大変だと覚悟し次善策を考えている状況です。

教訓一、先の改善策もなく見通しもない赤字会社に金を投じる(貸し付ける)ことはあげる(捨てる)ことと同じことである。

教訓二、Ⅹdayは売上げが上がったとき。つまり計画的に! そうでないと清算経費もでなく、更に従業員が泣くことになる。

教訓三、社長の決断こそ肝要である。早ければ対応の仕様もある。また再生の道もある。

「計画倒産は悪である」お言葉はごもっとなことです。しかし「計画性のない倒産ほど悪いことはない」の考え方が私の持論です。 

倒産を分っていながら新たな借入や仕入をすることは刑法上の「詐欺」相当だと人は言います。しかし経営の継続を望みつつも何時か倒産もあり得るような状態の中で、どこでその区分けができるのでしょうか? これは経営者ご自身が債権者(従業員も含む)に対してダメだろうではなく、断定した意思を表示したときからの問題です。従って本音と建前の使い別けが必要となります。

また、倒産は実際面で銀行等の金融機関並びに仕入先に迷惑が及ぶ訳ですが、これは商行為上の結果で致し方ないことなのです。商売にはリスクが付き物です。相手方にも貸し手責任、売り手責任があった筈だと割り切って考えれば債務者のお気持も楽になるのではないでしょうか?(本当に私はそうのように考えています。リスクのない商売はないので)

さて、実際面では、目標日であるⅩday(倒産日・少なくとも3ヶ月後)を経営者が頭の中で定めることから始まり、他に悟られないよう黙々と行動することになります。

その間に行うべきことは

清算(破産)に要するお金のこと(清算経費&労働債権の捻出がギリギリ状態のケース)

小企業の場合、会社と連帯保証人(ex.社長個人・奥様等)の破産には都会と地方・破産規模・連帯保証人の人数及び弁護士さんによって差異がありますが、小企業の場合、最低でも都会で150万円以上、地方で230万円以上は掛かると思ってください。このお金の内訳は委託弁護士の報酬+裁判所に対する予納金(=管財人報酬等)です。

 ではこのお金をどのように捻出するのでしょうか?

手元金があれば苦労しませんが、ない場合は売掛金等が対象になります。しかし着手金(30-40%)だけは、弁護士委託段階ですぐに必要になりますので、事前に手元金を作っておく必要があります。 

従ってⅩdayは売上の上がったときの翌月の回収日の翌日がベターだと言うことなります。(できれば土日休日の前日)

往々にして売上の上がった翌月は資金が回り、当月もまた上がるであろうと期待して決断が鈍り一日延ばしてしまう経営者を多々見受けますが、ここが経営者の決断のしどころなのです。空(スッカラピン)状態では清算経費も従業員の予告手当(救済措置がない 後で述べる)も捻出できない状態になります。

(ポイント1) 振込先が借入先取引銀行(債権者)になってる得意先のこと

 事前に当該得意先には振込先の変更通知を出す。取引のない他の金融機関へ又は現金又は手形回収に変更しておく必要があります。事務的に相殺されるので!

(ポイント2) 租税債務優先債権 消費税・社会保険・労働保険等の滞納金)のこと

  事前によく把握しておくことが必要です。特に社会保険の場合は滞納した時々に、決算書&明細書(全部の記載はない筈)の提出を求められている筈ですので、相手はまずその得意先の差押えに掛かってきます。その売掛債権は一週間内に差押えされると思っておいて間違えありません。相手が知っているであろう得意先については策を練っておく必要があります。

(ポイント3) 得意先の減額要求のこと

  得意先によっては、この事態をチャンスと捉えクレームその他の口実で商品等に対し難癖をつけ売掛金減額の不当な要求をされることがあります。また弁護士さんによりますが先生によっては売掛債権の回収をゆっくりと行う先生もおります。弁護士さん任せではなく先生の了解のもと自らが回収するという気構えがないとなかなか債権回収は進みません。売掛債権は時間との勝負です。遅れるほど劣化することもお忘れなく。

(ポイント4) 売掛金の実回収額のこと

  特にギリギリの資産状況での倒産では売掛金が頼みの綱ですが、実際場面では前述のように、計上された売掛債権額に対し実回収金額が目減りする可能性があることを理解しておき最悪の場合も想定し数字を掴んでおく必要があります。

②ご本人と連帯保証人のこと

経営者ご自身の将来の生活をまず考えてください。経営者には雇用(失業)保険等の恩典が全くありませんので。よく考えて自分の身は自分で守るように!

(ポイント1) ご本人と連帯保証人名義の差押可能対象物のこと

 預金・返戻金付(積立)生命保険・株式・・・などは事前に引き出すか解約しておく必要があります。解約には相応の時間を要することもお忘れなく!また間違ってもその振込先を取引銀行と書かないように! この際、取引銀行は敵だと割切って考えるべきです。更にこれらの資産は自己破産申立ての際、その時あれば資産として破産財団に属することになりますので、その前に速やかに現金化にしておくことが肝要です。この行為は詐害行為とみなされることもありますが、後で何とでも理由付けできます。背に腹変えられません!

(ポイント2) 厚生年金のこと

 年金受給者の方はその振込先が問題です。年金自体は差押えできませんが、預金の差押えは可能ですので、誰も知らない金融機関に口座を新設して事前に変更手続きをしておくことが肝要です。これも相応の時間が掛かります。また振込み月は偶数月であることも念頭に入れて!

なお、破産申立て後に晴れて免責されれば全ての債務(但し個人の租税債務は別)から解放されますので暫くの間の辛抱は致し方ありません。自分が破産者であることばご自身がしゃべらない限り債権者以外の他の人には知られません。誰も見ない官報に公告されるだけですので。

③従業員のこと

長く勤め上げた従業員のことを心配してあげるのが経営者の責務だと考えます。従業員も死活問題ですので、少なくとも当月給料を含む未払い賃金+予告手当(一ヶ月分)+退職金(規定がある場合)の労働債権の満額が賄える売掛状況のときにⅩdayを設定すべきです。また一段落ついた時には、従業員の再就職先のことも心配して上げれる気持ちも持ってほしいものです。

労働債権は優先債権ですのでいずれ管財人により優先的に配当されるかも知れませんが、優先債権(租税債務と労働債務・現同列)も満たない資産状況のときの倒産ほど悲惨なことはないので、Ⅹdayについては熟考が必要なのです。

※(未払い賃金+退職金)×80%については労働者健康福祉保険機構の立替制度(残念ながら予告手当は対象外)があります。

労働基準監督署の労災保険適用事業所になって一年以上の事業活動をしている企業の労働者ならこの立替え制度の利用ができます。実際面では管財人が手続きをしてくれます。同機構の代位による立替払いですので、当然同機構は破産財団に対して求償権(優先的請求権)を有することになります。しかし破産財団に資産がなければ同機構(国)が貸倒れとして負担してくれる有り難い制度です。この制度を事前に知ると知らないとでは大違い、経営者の判断に大きな差異が生じます。

つまり極論を言いますと、経営者としては、賃金+退職金の80%はどんなに資産内容が悪くても同機構(国)が従業員に払ってくれますので、残りの(未払い賃金+退職金)×20%(実際面では機構の計算式があるので100%は無理だが)+予告手当だけは念頭に入れておかねばなりません。これもⅩdayの決め方次第です。

以上述べましたが、まだまだ話し足らないことが多くあります。近日続編を作成します。また法スレスレ部分は記述できません。しかし当事者には知っておいて損のない情報ですので、ご一報頂ければ伝授します。決断はお早めに!

記:大森孝成

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№35 フラガール 常磐炭鉱の決断

平成20年10月22日

唐突ですが、先日映画「フラガール」を鑑賞しました。昭和40年代の人の意識、当時の社会情勢、また当時の自分らのこと等を重ね合わせて色々と考えさせられる感動ものでした。

石炭から石油に エネルギー革命最中の昭和40年本州最大の炭鉱・常磐炭鉱では廃坑が続き大幅な人員削減が迫られ、その救済のため、この北国に石炭とはエンもユカリもない「楽園のハワイ」をこの地に作り上げるという起死回生の一大プロジェクトが持ち上がった。当時は三井三池炭鉱騒動に象徴されるように労使が対立し先鋭化し荒れた社会であったと記憶している。そのなかで炭坑節や盆踊りしか知らない炭鉱の娘たちをフラダンサーに変身させるという涙と笑いと彼女らのひたむきな努力・熱意、そして反感・戸惑い等の入り交ざった家族や村人たちも最後は一丸となって協力するという半分ドキュメンタリー的なストーリーです。いわき市湯本にあるテーマパーク「常磐ハワイアンセンター」設立時の産みの苦しみを舞台とした作品です。

「人生には降りられない舞台があるー 町のため 家族のため 友のため そして自分の人生のために 少女たちはフラダンスに挑む」 (同映画の一節)

実は、この頃私の父は、国の公害基準強化により住宅化が進む都市部の製紙工場の移転を迫られていました。宿命である24時間操業の騒音や排水問題に日々苦労し頭を痛めていました。まだ工業団地というものが余り整備されていない頃のことです

たまたま北茨城市(常磐)の不動産業者から市が工場誘致を積極的に図っているという情報を聞きつけ、ある炭鉱跡地を移転先として取得しました。製紙の必須要件である用水と排水に市の協力が得られるという触込みにでした。失業と職の少ない市の抱えた事情から歓迎されたわけです。

しかしその後の会社倒産によりこの土地も工場新設構想も宙に浮いたまま借金弁済のため後に私が全てを売却し終わらせました。

こんなことがあったお陰で、私は北茨城の人との関わりも多く、人情にも触れ、度々この地を訪れている内にあるご家族と知り合い、今でも親しいお付合いをさせてもらっています。貧しくても明るくたくましいこのご家族やこの地のことが気になる身近な存在として何時も頭の片隅にあり、その後も時々訪れています。

当時の私は若った上に自分の会社経営のことで精一杯、仕事に没頭していました。他人を思いやる余裕もありませんでした。炭鉱の方々の血のにじむ苦労や努力など他人事で、「すすけた灰色の炭鉱の地に何で、何が華やかなハワイアンなのか?」、理解も想像も及びませんでした。しかしこの映画を見て同地域に対する認識が一変しました。

この驚天動地、奇想天外のこの発想を誰が考えたのか?発想だけに止まらずどうやって成し遂げることができたのか、追い込まれたときの人間(経営者・社員・町の人・・・)の底力なのか、そして周辺の多くの方々の行動は! 興味は尽きません。

「発想の転換」と軽々に口にしますがそんな生易しいものではない。凄いことです。本当に頭が下がる想いです。

40年前の話ですから私の歳もお分かりかと思います。(笑64・・??

記:大森孝成

=蛇足=

昭和55年頃、突然常磐興産(旧常磐炭鉱・本社築地)の総務課長さんから電話を頂いたことを思い出します。彼は「この工場用地の地下に地上から掘れ採算のとれる石炭層があり露頭掘りさせてくれないか」という。初めて炭鉱ということを実感したときでした。その後、築地の料亭に招かれ素朴で、且つ何かを成し遂げた、遂げようとしている控えめで穏かな人柄の同社お偉方にお会いしました。

当時苦しい局面にあった父とは実にウマが合い楽しい会話が弾み、父はひと時の心の安らぎを貰ったようでした。父は一言で銀行(抵当権者)ナンカに!承諾を得る必要はない(今はもう時効!)とアッサリ了解!大笑いしたときのことを思い出します。後に当てにしていなかったお金が届いたときの喜んだ父の顔など、おやじのことを思い出させてくれた映画でした。

※付記:常磐ハワイアンセンター(現 スパリゾートハワイアンズ)  設立以来延5000万人、今では年間150万人の観光客が訪れる常磐一の観光スポットに成長しているという。

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№34 買って、読んでください(その3)

Img_0746 注目!「地域で活躍する事業再生アドバイザー」

出版元 ㈱カナリヤ書房

大森孝成の寄稿文(その三)

■波に翻弄されてきた40

学生時代、私は「慶応義塾クルージングクラブ」で外洋ヨットと出会いました。卒業後、同クラブのOB会の世話役として後輩の育成と支援を行ってきたほか、学生同期の仲間たちと共同で船を手に入れ、大海原で自然と向かい合う厳しさと喜びを味わってきました。大学卒業からすでに40年以上の歳月が流れ、この間にヨットは4代目、友人たちもみんなおじいちゃんになり、船に孫を連れてくる人も現れるようになりました。

振り返ってみればこの40年は、まさに激動といえるものでした。父親が経営する製紙会社の倒産と任意整理、再興した製紙会社の法人譲渡、印刷紙器製造会社の創立と自己破産、父親の他界と相続の限定承認、倒産後のサラリーマン生活、不動産業への転進、そして事業再生コンサルタントとしての出発。債権者と称する整理屋に、手形を楯に会社に乗り込まれ事務所に監禁されたり、法人譲渡に反対する社内勢力と対峙したり、連帯保証により自宅が競売にかけられたりと、二度と経験したくない負の出来事が連続しました。不渡りが決定的となった手形の決済日、すでに万策も尽き強い脱力感と絶望感にさいなまれ、まんじりともせず迎えた夜明けは絶対に忘れられません。それまでの努力、築き上げてきた信頼、生活基盤の全てが水泡と帰す、最後の朝となるわけですから。

そんなとき私を支えてくれたのは、全てを包み込む大海原、そして木の葉のように翻弄されつつも力強く進むヨットでした。仕事の現場から離れ、自己を見つめなおす時間と場所を私に与えてくれました。たどり着いた港で満天の星を見上げながら友と語らうことも、ひとときの心の休暇です。失望のどん底にあるときも、目標に向かって決意を新たにするときも、海と船、そして40年来の友は私の帰る場所をいつも用意してくれています。

その友人たちも、皆がいつも順風満帆にやってきたわけではありません。潮に流され、風に行く手を阻まれ、高い波に揉まれてきたのです。

そして、今私が手助けしたいと願う経営者もまた、それぞれの事情と悩みを持っています。過大な債務、生活基盤を失うこと、高齢化、後継者の不在、複雑な相続事情、業界の未来。彼らにとって、おそらくはじめて経験するこれらの不安が、精神を打ちのめしています。その恐怖は、実際に経験してきた者にしか分からないかもしれません。私は彼らの負の先輩()として、立場と悩みを共有して解決に臨んでいます。不安を共有すれば当然ストレスも共有することが多々ありますが、そのためにも海と船、そして利害関係のない友が必要なのです。経営者の方々にも、仕事から時間的にも距離的にも離れて自分自身を見つめることができる“心の逃げ場”を用意することをお勧めします。気持ちの切り替えが、再生への第一歩へとつながることもままあるのです。

■水先案内人として、経営者に航路を示す

債務を抱えていることが公になると、債務者のもとには不動産の任意売却を促すダイレクトメール

100通前後も届きます。もちろん、状況によっては任意売却は差し押さえられて競売にかけられるよりははるかに有利なのですが、一方的に送りつけられるDMに「問題解決をサポートします」と書かれていても、やはり不安は解消されないでしょう。そこで私は、できるかぎりクライアントの中に入り込んで、相手が納得し、完全に不安が消えるまで誠心誠意サポートすることを心がけています。地方の場合は不動産の価値も低く厳しい案件が多いのが現実ですが、それでもすぐに出かけて行きます。実際に同じ不安を経験してきた者として、不安な気持ちをできるだけ早く楽にしてあげたいと思うからです。

また多くの経営者は、財務状態が悪化すると、会社の損益ではなく資金繰りにしか目が向かなくなっています。そのうえ、従業員や取引先に迷惑をかけたくないとか、倒産させたら自分の生活がどうなるか分からないといった不安から、有効な対策を打ち出さずただ会社を延命してしまい、より状況を悪化させてしまうのです。こうした経営者は、世の中に大勢いるはずです。私は彼らに正しい道と解決策を提示し、背中を押して決断を促し、解決に向かって導いていく“水先案内人”でありたいと考えています。そして問題解決がなった暁には、お互いに腹を割った話ができる友人として末永い付き合いができれば、これに勝る喜びはありません。

すべては、不安を和らげ、喜んでいただけるその姿を一目見るために。自分の経験を生かした親身なサポートを、これからも続けていきます。

【概要】

社名:合資会社大誠企画

設立:昭和1011月(平成4年、商号・目的を変更)

代表:代表社員 大森孝成

住所:東京都目黒区祐天寺2-2-7 青埜ビル4F

連絡先(TEL):03-5725-1641

   (携帯):080-1129-2271

E-Mail):tsk@taro1933.com

HPhttp://www.taisei-kikaku.com(私の全てを開示)

資格:宅地建物取引業免許  東京都知事()第62867号

   宅地建物取引主任者登録番号 (東京)第135532号

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