№15 なし崩し営業譲渡のお話
「なし崩し営業譲渡」とは私が勝手につけた名称です。つまり正式な営業譲渡ではなく新設の複数の第三者(?)会社へ良い部分だけを時間を掛けて内々に事業移管を図り、旧会社を整理するという方法です。詳しくは文面にできません。
この会社はバブル期の不動産取得の失敗と本業である業界の過当競争による体質変化(コスト高&販売単価の値引き)により苦しい経営を余儀なくされていました。しかしそのような状況であっても社長は事業意欲旺盛である上に後継者もいます。社長はこれから行おうとしているある決断での法律知識を吸収すべく一所懸命勉強もされ、営業譲渡のポイントをしっかりと掴まれていました。
社長の意思は現会社を潰し清算し「事業だけは新会社で残す」という計画を立て、過去約1年を掛け周到な準備をし今年2月のXdayにいざ決行しました。具体的にはこの日に外から見れば突然、会社並びに複数の連帯保証人全ての破算を裁判所に申立てたのです。
勿論そのときには、新たな会社で許認可を取得したうえ、事業は得意先、仕入先、並びに従業員対策も済ませた後のことで、ほぼ全てが移管できた段階で正に決行したという感じでした。
この行動は厳格に言えば法スレスレ行為ですので、余り文面に残すことはできません。しかし従業員を含め生活を掛け生き残るため致し方ない行動でもあり、捨て身の行為です。このような正念場に持てる力を振り絞り歯を食いしばり行動せる社長に私は共感を覚えました。また社長の人柄からか連帯保証人や従業員も一つ意思のもと理解行動されたことに驚かされました。
これからも一山二山続くと思いますが、力を合わ切り抜き、切り開いてくれるものと信じ、今後も見守りつつ話相手になりたいと思っています。
教訓
世の中には倒産、破算が多々あります。切羽詰まった後の倒産や破産は具の骨頂です。早めの決断が肝腎だと思っています。債権者側から見れば計画倒産、計画破産という「計画的だ」という行為を悪だという人もいます。また法律もほぼ同じ考えです。
しかし実際は本音と建前の世界であり、建前部分を熟知したうえで使い分け行動できるかどうかが存続の分かれ目だと私は思っています。この行為は自分を守るため、従業員を守るため致し方ないことなのです。一生に一度位の失敗に債権者が目くじらを立てるのではなく目を瞑る度量ある判断をして貰いたいものだと考えます。
ある程度歳行った方なら知っておられる言葉だと思いますが、小学校の算盤授業で「ごハサンに願いましては・・」という言葉がありましたよね。この漢字は正に「ご破産」です。今の言葉では指ワンタッチの単なる「リセット」です。やり直しをしようとしている方々を暖かく見守りつつねぎらう位の心の余裕を持ちたいし、更には応援して上げたいと考えるのは私一人ではない筈です。
記:大森孝成
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