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23)任意売却事例〔その一〕・抵当権と租税差押との優先順位

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H19.12.9

=抵当権と租税債権等との順位優先権は、「抵当権の登記日と租税債権の法定納期限の先か後か」で決まる=

勉強では知っていましたが、現実にぶち当るとは思いもしませんでした。本来ならばあり得ないことなのです。

何故ならば融資をする金融機関はもっとも注意する事項である法律上の優先債権を調査しますので、本来知らない筈もないし、知らなかったで済む話ではないからです。

不動産のこの所有者はH18年,住宅金融公庫(現:独立行政法人住宅金融支援機構)から全額融資を受けて新築戸建住宅を購入しました。しかし半年も経ないうちに、突然税務署の差押を受けたことで本人は何が起きたか訳の分からないままNPO支援センターに相談されたのです。

ご本人は個人事業者で飲食店を経営、転居を考えて賃貸物件を探していたところ、ある不動産業者の強い勧めでつい買取を決断し取得したことからことが起こりました。つまり不動産業者がいう「賃貸の家賃相当額で返済できるので、買取の方がお得です」の例の常套論法と強引さに心を動かされた結果です。

早速、私が所轄税務署に出向き調査確認しましたところ、本人には消費税の滞納が本税・・・・万円程、延滞税を加えるとその倍額弱程あることが分りました。税務署としては徴収法に従い事務的に所定の手続きである差押を掛けただけのことです。

しかも抵当権登記日より以前の税納期限ですので、売却された場合、国が同公庫より優先し全額納付され、本来順位①であった筈の抵当権設定者公庫はその次の順位になるという構図であることが分りました。

勿論、本人の認識不足、無知が原因でありますが、事前に知識があったならば、また的確なアドバイスをする人がいたならば、本人は絶対に借入れをしなかった筈ですし、また本人が告知義務違反をしてまで意図的に隠したところで何も意味のないことなのです。

貸付側も借入側も共に不幸になる融資が何故実行されたのでしょうか?また本来借りる資格のない顧客に何故貸したのでしょうか?考えれば考えるほど不自然で、疑問と憤りを覚えます。

「一番の責任は貸付けた公庫側にある」と、私は思えてならないのです。公庫の事務代行をした不動産取引業協会系の金融機関の納税証明書等のチェックミス及び住宅金融公庫の審査ミスが重なり実行されたと思えてならない。尚、この事務代行をした会社はH16年11月に設立されたまだシンマイの会社です。

このことについて争えるかどうかは今後、信頼している弁護士先生に確認したいと思っています。民間であれば株主代表訴訟の対象ではないかと思います。

一方、放置しますと、公庫申立ての競売か又は国の公売により強制的に売却され換価されますので、ご本人ご家族には賃貸物件に移って頂き、近日私が仲介不動産業者として任意売却を行います。新築同然とはいっても所詮中古物件ですので、購入価格の7掛け程度です。

この売却代金を国の税務署と国の独立行政法人が債権回収のため取り合う馬鹿みたいな構図です。優先権のある税務署はこの審査ミスのお陰で全額回収できることになり良かったかも知れませんが、この不良債権をどこが負担しようともその付けは国民の税金で賄われることだけは明確です。

独立行政法人という組織が如何に弛緩しているかがよく分ります。社会保険庁問題を含め誰のための機関なのか理解に苦しむという正にお粗末なお話です。

一方、ご本人は飲食店の経営も手に付かず放心状態で「破産」覚悟で今後の対応を迫られています。年少のお子さんがおられるご家族ですので、本当にお気の毒な状態です。

仕事とはいえ"やるせない"想いです。

記:大森孝成

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